青い砂漠



「君は…さくら…」
 アーサーは自分の目先にいた人物・さくらに話しかける。
 さくらもアーサーの存在に気付いた。
「あら、アーサー。 アーサーも眠れないの?」
 さくらはゆっくりと歩み寄りながらアーサーに近づく。
「ああ。ちょっと暑くてね。さくらも夜空を見に来たのかい?」
「ええ、だって夜の砂漠ってきれいだもん!」
「そうだな。ちょっとそこまで一緒に行かないか?」
 アーサーは笑顔で、さくらを誘う。
「うん!」
 元気に返事をしたさくらはアーサーの腕にしがみつく。。
「ありがとう、さくら」
 笑顔でさくらに礼を言うアーサー。
 しばらく歩いていた二人だが、途中で止まって夜空を見上げる。
「ねえ、アーサー」
「ん?」
「私ね…あなたに謝らなきゃいけないわ…」
「謝る?」
「初めて会った時…本当に地球が狙われているのか疑っちゃったの…」
 だからごめんなさい、とペコンと頭を下げるさくら。
「さくらが謝ることではない。気にしないでくれ」
「ううん、だって私達人間はこう…何て言うか…現実主義だし…そう言う話信じないと思うの…あなた達について行っても
大丈夫なのかと心配してた…。」
 アーサーはしばらく沈黙していた。
「…だから…あなた達を疑ってた…本当にごめんなさい…」
 さくらは泣きそうになりながら心から誤った。
「さくら…もし君達が本当に宇宙人を信じていないのなら私達は私達だけで戦っていたかもしれない」
「えっ?」
 アーサーの話にさくらは首を傾げた。
「この星の人間は…そう簡単に我々を受け入れる事はない。だが、君達は違う。私達と話す君達…特にさくらは、
楽しく嬉しそうに話してくれていて、その時私達はこの地球を守れる事が嬉しくて仕方がないんだ」
「アーサー…」
「私から聞きたい事がある。いいかな?」
 アーサーはさくらの顔を覗き込むようにしゃがむ。
 しばらくして。
「…うん…いいよ…」
「ありがとう。君達はどうして私達を信じてくれたんだい?」
 アーサーの質問に応えるように話し始めるさくら。
「あのね…勇人って宇宙人の話が大好きなの」
「宇宙人の…話?」
「うん。私もたまに宇宙人の話の本を読んだりするんだけど、読んでいるとその本すごく楽しくて…だから私も宇宙人の話が
大好きなの!」
「そうなのか…。」
「だから…学校とかで宇宙人をバカにしたり、悪口言ったりする子を見ると悲しくなってしまうの…」
「何故?」
「だってアーサー達ミクロマンみたいな素晴らしい宇宙人の悪口も言われるとひどいと思っちゃうの…」
「さくら…」
「夜空を見上げると、星が輝いていて、とてもきれい。こんな夜空の宇宙を飛び続けていると宇宙人に会いたくなるの。
そして、いっぱいお話しして、仲良くなりたい。だってそれなら宇宙戦争なんて起こらないじゃない?」
「そうだな。私も悲しい戦いを終わらせたい」
 そう言ってアーサーは星空を見上げる。
 さくらは、そっとアーサーを見つめていると一瞬だが、アーサーが泣いているように見えてしまった。
「?」
 一体どうしたのかさくらは気になって仕方がない。
「どうかしたのかい?」
 アーサーがさくらに振り向いた時は泣いているようには見えなかった。
「あ、ううん! 何でもない!」
 さくらは慌てながら赤面になる。
「ありがとう…さくら…」
「えっ!?」
 突然アーサーから礼を言われてさくらは驚いた。
「アーサー? 何でお礼を言うの?」
 突如の事にさくらの心臓音はトクトクからバクバクになりかける。
 何故アーサーは礼を言うのだろうか?
 その理由が見えない。
「君は本当に優しい子なんだな。今のさくらの話を聞いて何だか少し元気が出た。これからも頑張って旅を続けよう!」
 アーサーはにっこりとさくらに微笑む。
「う、うん! これからもよろしくね!」
「もちろん、君達は私が守ってみせる!」
 さくらの手をつないでいるアーサーの手がとても暖かい。
「アーサー…うん…ありがとう…!」
 さくらはアーサーに礼を言ってアーサーの腕に寄りかかる。
「おや? もう眠いのかな? そろそろ戻ろうか」
「えっ…うん。早く寝ないと朝になっちゃう!」
 思わずアーサーの腕に寄りかかって眠ってしまいそうなさくらだったが、慌てて起きる。
「じゃあ、行こう」
 優しくさくらの手を引くアーサー。
「うん…!」
 さくらも笑顔で頷いたのだった。