ミクロマンとアリカ…(聖女編)
第1話 ミクロマンと再会
「……みんな?」
少女はゆっくりと目を覚ます。
ベッドから起きあがり、硬く閉ざされた窓を開ける。
「これは…?」
外は廃墟となり、生き物の息吹が聞こえない…。
「みんな何処へ行ったの…? ここには私しかいないの…?」
少女の大地色の瞳が大きく揺れる。
暖かい風が大地色の髪を靡かせる。
「大丈夫…風が言っている…みんなを探そうって…」
大地の少女は水色の長い布―バンダナを頭に巻く。
そして、部屋の引き出しから服を何着か取り出す。
着替えた後、ひびが入った鏡で自分を見つめる。
「この服って…あの方の子供の時の服に似てるわ…」
笑顔になりながらも何処かその表情は陰がある。
「さあ…行こう…みんなの所に…」
少女は一つのナップザックを背負い、部屋の外へ出る。
外には明るい太陽が彼女を見送るかのように輝いている。
「ありがとう…行って来ます!」
そう言って少女は元気に走り出して行った。
ヒュウウウウウウウ…。
一つの宇宙船が草原に降り立つ。
「町の様子はだいぶ変わったな…」
宇宙船から降りた、アーサーは辺りを見回す。
「う〜む…おかしいのである…」
「何が?」
コンピュータを見ながら厳めしい顔をするエジソンにウォルトが聞き込む。
「前に地球に来た時には人間や動物の生命反応があったのであるが、今は…一つも反応がないのである…」
「何だって!?」
エジソンの声を聞いたアーサーは驚く。
「どういう事なんだ!? この星の人間達は何処へ行ってしまったんだ!?」
震える声でアーサーは、エジソンの両肩を掴んで揺さぶる。
「そ、それはまだわからないのである…耕平達の事も…あの子の事も…」
エジソンはこればかりはと顔を伏せる。
「耕平…祐太…麻美…由紀…暁…真悟…はるか…大輔…智…クリス…」
アーサーの口からは懐かしい友人達の名前がこぼれ出す。
「…アリカちゃん…」
そして最後には守るべき者の名前を口に出した。
「とりあえず、町に行ってみるのである。何か手がかりがつかめるかもしれん」
エジソンは、優しくアーサーの肩に手をのせる。
「…ああ、わかった」
やっと落ち着いたのか、アーサーは小さく笑った。
町の中を歩き回るが、人っ子一人も見あたらない。
「やはり見あたらないのである…一体ここで何があったのであるか…」
はあっとため息をつくエジソン。
「誰か一人でもいてくれれば話が聞けると思うが…」
「だけど俺達の話を聞いてくれる人っているかぁ?」
ウォルトが愚痴を言い始めようとした時…。
ズドオオオオオ!
「きゃあああああああああっ!」
何処からか爆発音と少女の悲鳴が響き渡る。
「あっ…! 誰かいる!」
イザムは声のする方へ振り向く。
「行こう! 誰がいるかわからないが、危ない目にあっているのは間違いない! 助けよう!」
アーサーは急いで声のする方へ走って行った。
町はずれでは、十四か十五歳ぐらいの少女が走って来たのか息を切らしている。
「はあはあ…ここまで来れば…」
少女が町の方を見ると…。
ギギギィィィーーーーッ!
小さなロボットが大量に出てくる。
そして少女に銃を向けてきた。
「あっ…これでもう終わりなの…? 伯父様…!」
銃口からは今にも弾丸が飛び出してきそうだ。
その弾丸を目にした少女は頭を抱えてしゃがみ込む。
そこへ…。
「ウォーターマグナーム!!」
何処からか水の弾丸がロボット達を真っ二つにする。
「えっ…?」
少女は突如の事に呆然としている。
「へっ! この子に指一本触れてみろ! このウォルト様が許さねー!」
五人の小さな戦士が少女の前に立つ。
「あっ…!」
五人の戦士を見つめる少女はある事を思いだした。
「無事でよかった…大丈夫! 怪しい者じゃない! 君の味方だ!」
アーサーが少女に言葉をかける。
ロボット達はその五人に怯えたのか全員逃げてしまった。
「追いかけるか? アーサー」
イザムはアーサーの方へ問いかける。
「いや、今はこの子の安全が第一だ。ケガはなかったかい?」
アーサーは少女を優しく見つめる。
「ミクロマン…」
少女の口からは自分達の名称が。
「我々を知っているのか…!?」
オーディーンが尋ねると少女は笑顔になり、
「はい! お久しぶりですね、ミクロマン!」
少女の大地色の髪が日にあたり、輝いている。
「まさか…君は…!」
アーサーは嬉しい予感をさせながらも少女に尋ねてみる。
「ええ…私はアリカ、久磁亜梨花です!」
少女――アリカは笑顔に自分の両手に彼らを乗せた。
「「「「「ええええええええええっ!?」」」」
町はずれから五人の戦士の声が響き渡ったのだった。

