「――っ!?」

 頼久はふいに空を見上げた。

「どうしたの? 頼久さん」

 藤姫の館の庭に立っていた頼久は、不思議そうにした神子の声で我に返る。

「……いえ、その……天真達は大丈夫かと思いまして」

「そうだね……でも、きっと大丈夫だよ! 天真くんと鷹通さんとちゃん、それに、随心院には友雅さんも居るって、さっき藤姫が言ってたし」

 にっこりと笑ってあかねが言うと、頼久も「そうですね」と微笑して頷いた。

「ところで神子殿、お身体の方は大丈夫なのですか?」

「うん。今日はもう『力』を使うの、終わったしね」

 元気であることを示すように、あかねはまるで向日葵のような笑顔を見せた。

 ――崩壊に向かう双つの世界を止めるために使う『力』。

 しかしそれは、あかねの身に交う陰陽の内、静止の力である『陰』のみ。

 いくらあかねの持つ力が大きくても、使えるのは半分だけなのだ。

 半分しか効力のないそれを、目一杯使う――故に大分の疲労感があかねには背負わされてしまう。

ちゃんとちゃん、八葉のみんなが、あんなに頑張ってくれてるんだもん。私も頑張らなきゃ!」

 相変わらず健気で懸命な神子を見て、頼久は出掛ける際の天真の言葉を思い出した。

『ここに残って、あかねを守るのも大事な役目だろ!?』

 随心院へ行くという彼らに同行しようとした刻、相方の少年にそう言われた。

 おそらくは怪我が治ったばかりの自分を気遣ってくれてのこともあるのだろうが――確かに、と頼久は思う。

「神子殿のそのお気持ちは、とても尊いと思います。ですが、どうかご無理はなさらないように――」

 優しく穏やかに、頼久は言葉をかけた。

「頼久さん……ありがとう」

 あかねは薄らと頬を紅潮させて、少女らしい笑みを浮かべた。





 ――――まるで水を打ったように、時が止まったかのように。

 その場は一瞬、静まり返った。

 張り上がった音が響き渡った後、我に返った鬼の少年は赤くなった左の頬を押さえる。

「なっ、何をする!!」

 そして強い怒りの声と視線を、空癒の少女にぶつけた。

 がセフルの頬を打った――その事実に、イノリや詩紋は呆然とし、泰明もいつの間にか幽魔を祓う手を止めている。

「……いい加減にして」

 ゆっくりと、セフルの頬を打った手を降ろす

「あなた、自分がどれだけ酷いことをしてるか解ってるの?」

 藍色の瞳から涙が幾粒も零れ落ちる。

 その表情は、深く静かな怒りと悲しみを表していた。

「誰の心にも弱い闇の部分があるの。悲しいこと、辛いこと、不安な思いを持つのは当然だわ。でも人はいつだって、その闇に負けないように、自分の心の中で必死に戦いながら生きてるのよ!? あなたは一方的にそれを踏みにじったわ! 鬼の一族がどれだけ迫害されたのかは知らないけど、あなた達のしてることだって充分酷いわよ!」

 泣きながらのの叫びに、詩紋は涙を浮かべた大きな青い瞳を見開いていく。

 セフルは両手を震わせた。

「うるさいっ! 偉そうなことを言うな!!」

 怒りに任せたセフルの手が、パァンッと容赦なくの頬を打つ。

!?」

 打たれた勢いのまま倒れそうになったを、イノリが慌てて駆け寄り、受け止める。

 の肩を支えてやりながら、「てめぇ! 何しやがる!!」とセフルに向かって怒鳴りつけた。

「京の人間共は復讐されて当然のことをしてきたんだ! 僕達が受けた苦しみを知らないくせに、解ったふうな口をきくな!!」

 セフルの怒りを浴びせられたから、声が零れる。

「……やられたから、やり返すの?」

「何っ…!?」

 は赤く腫れた頬の顔を上げて、セフルを見据えた。

「そんなことをして何になるの? 新たな憎しみが生まれるだけじゃない…! 誰も救われないよ」

 そう言ったはの双眸は、心の底からの悲しい色を映していた。

「黙れ! 僕は……お館様は間違ってなんかない!! お館様が京を支配する! そうすれば理想の国が出来るんだ!!」

 あくまでアクラムを信じて疑わない――セフルは大きく頭を振った。

「……そう」

 次の瞬間――の表情は先程とは打って変わった、とても冷めたものになっていた。

「ありがとう、イノリくん。幽魔を祓いましょう」

 支えてくれていたイノリの方を振り向いたは、もういつもの彼女に戻っていた。

 周りを飛び交う幽魔は、泰明がほとんど祓い終えたが、人々に取り憑いた幽魔がまだ残っている。

「ハッ、もう手遅れさ! 幽魔は一度取り憑いたら離れない。あとはその人間の精神を食い尽くすだけだ!」

 セフルの強気な言葉に、イノリが「何だと…!?」と言いかける、が。

「――うるさい、ちょっと黙ってて」

 が一瞥もくれずにセフルに向かって言った。

「なっ…!?」

 セフルは怒りをこみ上げさせ、イノリは驚いたように赤い双眸を見開く。

 そんな彼らに気づいているのか否か、は泰明の方へ歩む。

「泰明さん、どうすれば取り憑いてしまった幽魔を祓えますか?」

 そう問われた泰明は暫し黙する。

「……私がやったのでは時間が掛かる。、お前の力で祓うのだ」

 琥珀と翡翠の瞳を、真っ直ぐと向けて紡いだ。

「私の力…!?」

 自分にあるのは治癒の力だけなのに――と、そう思ったは驚く。

「強く祈れ。それだけでいい」

 しかし、ハッキリとした彼の言葉を信じることにした。

 は「はい…!」と返事をしてから、胸の前で両手を握り合わせる。

(お願い――どうか、みんなを助けて――)

 人々を、詩紋を救うために、は強く祈った。

 閉じた瞳から一滴の涙が零れ、それが勾玉の上の月見草に落ちる。


 すると――月見草の白い花びらが一枚、輝きながらはらりと散り、舞い上がった。


 空へと舞い上がった花びらは、強い光を放つ。

 その光に苦しむように、人々の中から幽魔が飛び出して来た…!

「すげぇっ、幽魔が出てきた!」

 イノリが叫んだ刻、詩紋の中からも幽魔が抜け出した。

 それに気づいたが、「詩紋くん、大丈夫?」と、彼の方を向く。

「……詩紋くん。あなたはとても優しい心を持ってるのね。すごく辛いと思うけど、あなたの信じる通りに信じてみていいと思うよ」

 微かな涙を浮かべながら、は微笑みかけた。

…さ……!」

 ――と、その刻。

 飛び出して一度ひとまとまりに固まった幽魔は、光が消えた途端、分散した…!

「まずい! 動き出した!」

 イノリが身構えるより速く、泰明は首飾りを構えた。

 が、幽魔の動きの方がそれよりも更に速い。

 あっという間に飛び散り、襲い掛かる――!

「僕の……僕の信じるように…!!」

 俯いていた詩紋が、涙声で叫びながら立ち上がった。

 すると、伏見稲荷の地面から大きな波動が発せられる。

 ――それは、地の朱雀の声に応えた空の勾玉だった。

 深い黄色の光を放ちながら、空へと飛び出す。

 その目映い輝きに、幽魔達は再び動きを止めた。

「今だっ、!!」

「うん!」

 イノリの声に頷き、は彼に五行の力を送る。

『燃えろ! 火炎陣!!』

 印を結んだイノリの両手から真紅に燃える炎が放たれた。

 炎は幽魔を包み込むように陣を描きながら、そのすべてを燃やし尽くす――。

 やがて炎が消えた刻には、一つ残らず、幽魔も消滅していた。

「よっしゃ!」

 現代で言うガッツポーズを決めるイノリ。

「く、くそぉ…!」

 幽魔の消滅を見届けたセフルは悔しげな表情を刻んだ。

 は「詩紋くん、平気?」と、彼の元に駆け寄る。

 空の勾玉を握り締めた詩紋の大きな青い瞳には、まだ涙が残っていた。

「うん……ごめんね、ちゃん、僕……あっ、ごめん!」

 心配かけてしまったことを謝りたかった詩紋は、つい『ちゃん』と呼んでしまったことをも続けて謝った。

 しかし、は怒った様子もなく、首を横に振る。

「ううん。いいよ、そう呼んでくれて」

 にこっと微笑んで言うと、詩紋は「ほ、ほんと?」とにわかに嬉しそうな顔をする。

「うん。ちゃんのこともそう呼んでいいんじゃないかな」

「そ、そうかな? じゃぁ僕、帰ったら聞いてみるよ!」

 は「うん」と頷いてみせて、可愛らしい笑顔をする詩紋と微笑み合った。





 ――時見の少女の声が、地の青龍の名を叫んだ直後。

 ヒュンッと風を切る音が天真の耳を掠めた。

 と同時に、天真の真横に迫った幽魔は弾き飛ばされ――いや、射抜かれ、滅する。

「大丈夫かい? 天真」

 驚きながら天真が振り返ると、いつの間にやら弓を手にした地の白虎が居た。

「友雅!? お前、いつの間に弓なんか…!?」

「これでも一応、武官だからねぇ。まぁこれは、儀式用の弓だったのだが、役に立って何よりだよ」

「サンキュー…あ、いや! 助かったぜ、友雅!」

 天真は素早く礼を言った。

 友雅のその鮮やかな腕前を見たや鷹通が軽く感嘆の声を漏らした後、天真が「で、どうする?」と再び仲間のそばに戻る。

「この怨霊達は時間が経てば経つほど増えるようです。一気に祓ってしまうのがいいのでしょうが…」

 鷹通はそこまで言いかけて言葉を止めた。

 一気に祓う方法――それは、三人が一遍に術を使うのが有効で手っ取り早い。

 だがそのためには、が五行の力を放出しなければいけないわけで――。

 天真や友雅もそれを悟って思案顔をする。

「賛成ですっ、それでいきましょう!」

 しかし、自身がその案に同意した。

 一瞬「大丈夫か?」と尋ねようとした天真だが、のやる気に満ちた顔を見た途端、彼女と同じように笑んでみせる。

「…わかった! それぞれ一発ずつで決めるぜ!!」

 天真の威勢のいい声に、天地の白虎も意を決した。

「いくよっ、天真くん!」

 走り出した地の青龍に向かって、は五行の力を送る。

 彼女の声に「おう!」と答えた天真は、受け止めたそれを解き放った。

『しびれちまいな! 神鳴縛!!』

 青き稲光が随心院の空中に広がり、すべての幽魔を縛り付ける。

「今です、鷹通さん! 友雅さん!」

 天真がこちらへ引き戻って来たのを見届けながら、は天地の白虎にも五行の力を送った。

 の前方の左右に立つ二人は、術を放つ。

『不浄のもの、滅せよ。陽光天浄!』

『きらめきよ、つらぬけ。星晶針!』

 鷹通からは『朝』の空を照らす光が、友雅からは『夜』の空に散りばめられる輝きが、身動きできない幽魔に一斉に降り注がれた。

 両極端の閃光を強く浴びせられた黒き怨霊達は、その光に消されてゆく――。

 やがてそのすべてが消え去ると、皆の安堵の吐息と「やったぜ!」という天真の声が響いた。

「上手くいきましたね!」

 一息ついたがそう言うと、天真は「、大丈夫か?」と駆け寄ってくる。

「うん、大丈夫だよ」

 は尋ねてくれた天真や、天地の白虎を安堵させるように微笑んで答えた。

「……成る程、レイの話の通りだな」

 その刻、現状をただ黙って見定めていたイクティダールが言葉を零した。

 ハッと気がついた皆は、自然とを守るように立ち並ぶ。

「怨霊はすべて祓ってしまったが、まだやる気なのかい?」

 友雅が得意の微笑と声で言うと、イクティダールは暫し沈黙する。

「……こ度の命は『幽魔を使って』とのことだった。幽魔をすべて祓われたのであれば、もう手段は無い。それに、どうやら随心院へ向かったセフルも失敗したようだ。私はここで退かせてもらおう」

 イクティダールは一瞬だけの方に視線を向けてから、妖しの力でいずこかへと姿を消した。

 何だか気になったは胸中で首を傾げる。

「…今の、本当かな」

 は誰にとなく問うた。

「……おそらく、真実ととっていいと思います。彼は鬼ではありますが、他の者とは違って常識の通じる人物ですから」

 鷹通の答えに、は「そうなんですか…」と彼が消え去ったあとを見据えた。

「あんな鬼の人もいるんですね」

 達の向かった場所にも怨霊が出ることをも、彼は教えてくれた。

 初めて逢った鬼であるシリンとは、全然人種が違うようにも思える。

 天真はの零した言葉に「まぁな」と答えた。

「これで何とか全部終わったな」

「あ、でも御阿礼っていう儀式の方は…?」

 天真の言った「全部」に引っかかったものを感じたは、友雅や鷹通に尋ねた。

「まぁ、多少妨害されてしまったが、時間が送られたぐらいのものだ。どうということはないよ」

 友雅は気にしないようにと告げるよう、軽く笑ってみせた。

「じゃぁ、私はこれから仕事が待っているから、ここで失礼させてもらうよ」

 そのまま行こうとした友雅に、鷹通が「私もお手伝いします」と告げる。

 避難したとはいえ、まだ近くにいるであろう貴族達に「危険は去った」ということを伝えたり、再度儀式の準備をするのに力添えしようと思ったのだ。

「天真殿、殿を送って頂けますか?」

「ああ。どうせ同じ所に帰るんだし、任せとけって」

 天真が明るく答えると、鷹通は「そうでしたね」と穏やかな微笑を浮かべる。

「じゃ、行こうぜ、

「うん」

 共に歩み出す天真とに、鷹通は後ろから「お気をつけて」と述べた。





「詩紋っ、大丈夫か!?」

 未だ座り込んでいる地の朱雀の元に、相方であるイノリが駆け寄る。

「うん。もう大丈夫だよ、イノリくん」

 少し残っていた涙を拭って、詩紋は立ち上がった。

 安堵して「そっか」と笑顔になったイノリは、傍らのの、月見草に気がつく。

「そういやぁ、さっきのすごかったな、

 彼にそう言われて、は「え? あ、うん…」と答えながら翠の勾玉に結ばれた月見草を手に乗せる。

「これ、晴明様にもらったものなの。お守りだって、言われたんだけど…」

「そうだ」

 こちらへ歩み寄りながら、泰明はハッキリと言った。

「それはお師匠がお前にもたらした護符。お前が望めば清めの力を発する『浄花』という術が施されているのだ」

「浄花……」

 その美しい清らかな名を、は少し嬉しそうに繰り返す。

「よくも…! よくもやってくれたな!!」

 すると、セフルは悔しさに身を打ち振るわせた。

「こうなったらもう一度幽魔を呼び出して――!」

 諦めの悪い鬼の少年は、怨霊を再び呼び出そうとする。

「――やめるのだ、セフル」

 が、しかし突然、彼の傍らに長身の男性が現れた。

 それに気づいた天地の朱雀と泰明は身構える。

「イクティダール…ッ!!」

 その刻、イノリの表情が明らかに変わった。

「何故止めるんだイクティダール!? 僕はまだ戦えるし、幽魔だってまだ…!」

「駄目だ。今日はもうこれ以上は使えない」

 イクティダールの言葉に、地の玄武は密かに何かを感じ取ったような顔をする。

「嫌だ! 僕はまだ…!」

「セフル、これ以上お館様のご不興を買いたくなかったら退くのだ」

 中々諦めようとはしなかったセフルが、『お館様』という言葉が出た途端「うっ…」と詰まり――渋々「…わかった」と頷いた。

「待て……待ちやがれっ! イクティダールッ!!」

 立ち去ろうとする鬼の二人に向かって――いや、イクティダールに向かって、イノリは叫んだ。

「今日はもう退くと言っただろう? イノリ。お前ともまたいずれ――」

 背を向け、肩越しにこちらを見やりながら、イクティダールはセフルと共に姿を消した。

「……ちくしょう」

 もう居なくなったその場を赤い双眸に映したイノリは、悔しげに一言零す。

「…イノリくん…?」

 は、普段と様子の違うイノリを見上げた。

 暫く黙っていたイノリは「…何でもねぇ」と抑えたような表情を向ける。

「それよりも、お前は大丈夫なのか? あの野郎、女を殴るなんて最低だぜ」

 イノリはを気遣うようにしてから、セフルに対しての怒りを表した。

「あ…うん、大丈夫。それに私もひっぱたいちゃったし、おあいこだよ」

 確かに痛みは感じるけれど、と思いながらも、は軽く苦笑した。



 と直後に、は泰明に名を呼ばれる。

「は、はい?」

 返事をして振り向くと、泰明はの前に立ち、彼女の左の頬に手を触れさせる。

「え? きゃっ…!?」

 驚く暇もなく、はひやっとしたものを左の頬に感じた。

 藍色の瞳を見開いてみると――頬に当てられたのは、冷たく冷えた布。

「自分では治せぬのだろう?」

 それは、泰明がいつの間にか境内にある筧に潜らせて持って来てくれたものだった。

「泰明さん……」

 は特に表情の変わらない地の玄武の名を呟く。


『――悪戯に人の心を傷つけようとしているわけでは、決して無いのですよ』


 の脳裏に、穏やかな笑みをたたえた永泉の言葉が蘇った。

「……はい。ありがとうございます、泰明さん…」

 熱を持ち始めていた頬に当てられた布の冷たさを心地よく感じながら、それが泰明の優しさに思えたは嬉しそうに微笑んだ。

 その様子を見た天地の朱雀は、お互いの顔を見合わせて、安堵したように笑む。

 ここに来る前はどうしようかと思ったが、取りあえず解決したようである。

 と、その刻、幽魔に取り憑かれていた人のから微かな声が零れた。

 イノリを始め、皆振り返ると、人々は無事解放されたようだ。

 は「よかった…」と安堵の溜め息をつく。

「オレ、こいつらの面倒みてやらなきゃなんねぇから、先に帰っててくれ」

 そう言って人々の方へ駆けていくイノリに、「僕も手伝うよ、イノリくん!」と詩紋が声をかける。

 続いて「あ、じゃぁ私も…」とが言いかけるが。

ちゃんは疲れてるでしょう? ほっぺたも痛そうだし……泰明さん、ちゃんを送ってあげて下さい」

 詩紋は背の高い陰陽師に向かって微笑んで頼んだ。

「わかった」

 あっさりと答えた泰明に、詩紋は「お願いしまーす!」と言って、イノリの方へ駆けていく。

 は「し、詩紋くん…??」と、何だか戸惑ってしまう。

「行くぞ、

 しかしそんなことをしてる間もなく、泰明は歩み出す。

「は、はい!」

 慌てて返事をしたは、やはり慌てて彼の後を追うのだった。