高眼圧症
原発開放隅角緑内障(狭義)
正常眼圧緑内障
1.高眼圧症、緑内障疑い
平均的人々より緑内障移行率の高いグループ。眼圧の高さにより狭義原発開放隅角緑内障への移行率が異なるが、種々の文献から推定するに約10年間の経過観察で8.5%であった。
危険因子は、眼圧上昇、視神経異常、加齢、血縁者に緑内障の方がいる、房水の流出経路の阻害、近視などの進行・視力低下。
網膜神経繊維層欠損は、狭義原発開放隅角緑内障移行の4〜5年前に出現すると報告されている。
当院の初診時の症例数は十分とはいえないが、無治療経過観察の初診時眼圧20mmHg以上(n=4)で0%、25以上(n=5)で20%、30以上(n=3)で66%に、GDx検査で網膜神経線維層欠損を見た。HRT2ではいずれの症例でも緑内障ボーダーラインまたは緑内障を示していた。視野障害は認めなかった。
3ヶ月〜12ヶ月の無治療経過観察中に、FDT、視野の異常を認めたのは初診時眼圧25mmHg以上の網膜神経線維層欠損の認められた3眼であった。
治療:
高眼圧症は平均眼圧が25mmHg以上の時で、HRT2、GDXアクセスに緑内障所見を見たら即座に眼圧下降治療を行うべきである。4〜5年のスパンで見れば、高眼圧で網膜神経線維層欠損を認めた全例に、眼圧下降治療を開始すべきであると思われる。
狭義原発開放隅角緑内障に移行する以前の網膜神経線維層欠損進行の極初期から眼圧治療の選択肢を患者様に提示することも重要なことである。
高眼圧症の狭義原発開放隅角緑内障への移行を極早期に知るためには、最低限3月に1度以上の緑内障検査が必要と思われる。
2.狭義 原発開放隅角緑内障
慢性的進行性に網膜視神経乳頭の緑内障性障害(視神経乳頭陥凹、乳頭萎縮、視野異常)が、眼圧が異常に高いことによって起こる緑内障である。隅角が正常な形態と見受けられる特徴がある。
究極的には網膜神経節細胞の死により引き起こされる病態と考えられる。
危険因子は、近視、遺伝関係(血縁者に緑内障患者がいる)、年齢、全身病ー糖尿病・甲状腺疾患・循環器病、などが報告されている。
臨床的には両眼に発病し、進行は慢性的、視野障害を自覚するまでは症状は少ない。
治療開始は、昔は視野障害、視神経乳頭陥凹の拡大、高眼圧の3症候が揃うまで治療を手控えていた時代もあった。
一眼に上記の3症状を認めると、5年以内に他眼が視野異常出現まで進行することが報告されている。
現在では、高眼圧症の分類のうち、網膜視神経障害と高眼圧症があれば、視野異常が出現するのを待たずに、眼圧下降治療を行う。
網膜視神経画像解析などの手法を、精密眼底検査に加える事により、治療開始時期の確定診断が容易になってきている。
健常眼圧であることを確認するためには緑内障検査を出来うる限り頻繁に実施する必要がある。
健常眼圧よりさらに低い眼圧を達成できた症例では、視野・GDxアクセス成績が改善を示す自早期、強力眼圧治療は非常に有効と考える。15/12/25
緑内障 開放隅角緑内障の症状から治療まで