つくばのメゾン ―工事編―
           これから家づくりをする方に役立てていただければと、建て主さまのご厚意で工事写真の一部を公開しています。


この家は、つくばの温かい人達が
専門の知識や技術を発揮し
心をひとつにして作りました。

 DATA  敷地面積:300.22u
      1階面積: 75.36u
      2階面積: 57.14u
      延床面積:132.50u

      構造:木造
      本体工事費:坪57.5万円
      設計費:   230万円

      

地鎮祭  4月15日 ―地鎮祭―

 建て主様にとって、家を建てるための神事は初めての経験でした。
 工事の安全を祈願します。

 地鎮祭が終わって、建て主・設計者・施工者の全員で
 ご近所に挨拶まわりをしました。
遣り方  6月20日 ―遣り方―

 いよいよ着工です! 遣り方の作業に立会いました。
 境界線、建物位置、地盤レベルの確認、BM(ベンチマーク:建物の
 高低測量の基標)とGL(グラウンドレベル)の設定を行いました。
 工事は、(有)入江工務店の入江さん3兄弟+青木さんの担当です。
基礎  6月23日 ―根切―

 根切り底の確認をしました。
 基礎の設計は、スウェーデン式サウンディング調査に基づいて
 いますが、現地の地盤に問題のないことが目視で確認できました。
 安心しました。
 6月27日 ―砕石転圧―

 基礎の底に砕石を敷き込み、十分な転圧がされています。
 べた基礎のため、全面に敷きこんでいます。
 6月28日 ―防湿シート―

 基礎の捨てコンを打つ前に、防湿フィルムを敷きこんでいます。
 地面の湿気が家の中に入るのを防ぐためです。
 6月27日 ―現寸検査―

 鉄骨階段の現寸検査(1/1の縮尺で床に書いた
 図面を確認する)を行いました。
 機械場工業の和田さんと工務店の入江さんの
 立会いで、暑い中でしたが寸法の確認をしました。
 6月28日 ―捨てコン―

 梅雨にもかかわらず、お天気が続いているおかげで
 工事は順調です。
 雨の心配なく、捨てコン打ちができました。
 6月30日 ―ベース枠―

 建物外側の型枠を建てています。
 基礎担当は、矢ケ崎工業の矢ケ崎さん親子と森田さんです。
 連日の日差しで、みんな真黒です。
 6月30日 ―鉄骨階段ベース―

 鉄骨階段のアンカー・ベースプレートの設置を行いました。
 本当に暑い中を一生懸命な作業です。
 7月01日 ―配筋検査―

 ベタ基礎の鉄筋は、ダブル配筋です。
 ビルが建つの?と近所の人に間違われそうなな光景です。
 鉄筋径、ピッチ、かぶり厚、定着長さ、人通口の補強等の
 チェックを行いました。
 7月04日 ―コンクリート打ち―

 べた基礎の耐圧盤(底盤)のコンクリートを打ちました。
 7月07日 ―立上り型枠―

 スリーブ入れ(設備が貫通する部分に筒を入れる)が終わり、
 立上りの木製型枠の建て込みをしています。
 7月07日 ―アンカーボルトの確認―

 アンカーボルトの結束位置と、今一度スリーブ位置の
 確認を行いました。
 スリーブまわりの補強もされています。
 基礎立上り15cmも確認。
 7月08日 ―鉄骨階段 制作―

 建て主様の希望イメージを実現するために
 暑さの中で心を込めた手作業です。
 7月12日 ―階段手摺 制作―

 鉄骨階段に合わせたスチール製の手摺は、自然に緩やかに
 上るカーブに苦労をしました。
 3回も作り直しをしていただいて、希望のイメージにできあがりました。
 
木工事  6月27日 ―刻み―

 プレカットでなく、接合部(仕口・継ぎ手)は大工さんが加工します。
 広〜い作業場で刻みを見学しました。

 木造の場合、当アトリエでは手刻みにこだわっています。
 図面で樹種や接合部の仕様を指定しています。
 7月13日 ―基礎パッキン―

 上棟の前に鉄骨階段を取付ます。
 そのために型枠をはずし、墨出しをしました。
 レベラー施工した天端に基礎パッキンを敷きます。
 7月14日 ―土台敷き―

 柱脚、アンカーボルト、土台継ぎ手の位置を確認後、基礎パッキンを
 設置して、土台を敷き込みました。
 大引きは鋼製束で支えます。
 7月15日 ―鉄骨階段設置―

 36℃の炎天下で鉄骨階段を設置します。
 パーツに分けて運んだ手摺を、現場溶接しました。
 7月17日 ―上棟―

 これまでお天気に恵まれたおかげで、順調に工事が進み
 上棟の日を迎えました。
 今日はあいにくの雨ですが、無事に上棟しました。
 建て主さま、おめでとうございます!
 7月17日 ―上棟式―

 棟梁が和紙、水引と麻紐で作った幣束を棟木に建てました。
 お米と塩とお酒で清め、鎚打の儀を行い、奉献酒で乾杯しました。
 上棟式は土地によって様々ですね。
 東京では鳶職たちが木遣りを唄うこともあります。
屋根下地  7月26日 ―屋根―

 上棟の日から雨が続いていました。
 やっと梅雨が明け、本日から工事が再開しました。
 垂木・面戸・破風板の取付をしました。
 7月27日 ―屋根の野地板―

 野地板を張って、やっと屋根らしく?なりました。
屋根仕上  7月29日 ―屋根の防音材―

 このお宅では、垂木間に断熱材を入れ、野地板と透湿防水シートの上に
 通気層を設け、シージングボードを張りました。
 8月02日 ―屋根防水―

 アスファルトルーフィングを敷きつめて、屋根の下葺きをしました。
 8月10日 ―ガルバリウム屋根―

 屋根はガルバリウム鋼板の瓦棒葺きです。
 谷のところから葺いていきます。
木工事

  上棟後
 8月02日 ―棟札―

 地鎮祭・上棟時に大切にお祭りした棟札を、屋根裏に納めました。
 8月02日 ―金物の検査―

 構造材の接合部分に使用すべき金物が、設計のとおりに
 取り付けられているかの検査を行いました。
 指摘事項なく完璧に取り付けられていました。
 8月03日 ―根太組・床下断熱材―

 床下地の根太を組み、1階根太間に断熱ボードを敷き込みました。
 根太間を自力で突っ張る断熱ボードです。
 8月07日 ―透湿防水シート―

 サッシを取り付けた後、透湿防水シートを外壁一面に張りました。
中間検査  8月10日 ―中間検査―

 確認審査機関の担当官による中間検査(確認申請のとおりに工事
 がおこなわれているかの検査)に立会いました。
 8月18日 ―外壁下地―

 外壁仕上げを塗り壁とするため、ラス下地の木摺りを施工しています。
 外壁の断熱材は、この木摺りの室内側に充填します。
外部開口  8月21日

 キッチンシンク前の窓は、サークルトップの木製窓です。
 搬入の遅れていた木製サッシが取り付けられました。
 上げ下げ式で、ガラスはペアガラスです。
内部下地  8月21日 ―天井下地・野縁―

 天井を張るための下地、野縁の取付が行われました。
 8月22日 ―断熱材―

 断熱材のグラスウールが、室内側から隙間なく充填されました。
 2階天井裏も断熱材を施します。
 室内側の防湿フィルムは、耳を重ねて連続的に施工されています。
 8月22日 ―建具打合せ―

 アンティーク建具の補修・取付と、新しい建具の制作をお願いするために
 つくば建具センターで打合せをしました。
 実物のアンティーク建具を持参し、検討しながら相談しました。
防水  8月22日 ―ベランダ防水―

 2階寝室のベランダは、耐水合板二重張りの下地の上に弾性FRP複合
 防水です。
 建物外側に流れる勾配をつけています。(グレーの部分)
 8月26日 ―ドレイン―

 ベランダは上部に屋根があり、雨が降り込まないと思われますが、
 豪雨で水か溜まったりしないように排水設備(ドレイン)を
 施工しています。
設備  8月28日 ―設備配管―

 洗面所の給排水管の配管をしました。
 給水管は、さや管ヘッダー工法です。
 洗面所の外壁に、エコキュートを置きますので
 配管が集中しています。
 8月26日 ―床暖房―

 リビングの床下地の上に、床暖房を施工しています。
 フィルム状の電気式遠赤外線床暖房です。
 フローリングを張る前に発熱フィルムを敷きこみました。
内部仕上  8月30日 ―フローリング―

 床の材料は、洋館のような板張りのご希望でしたが
 床暖房をするので、無垢板でなく、イメージにあう
 チョコレート色の幅広フローリングを探しました。
 9月01日 ―外壁 木摺り―

 外壁を塗るための下地が終わりました。
 木で張られた壁がとても美しいので、建築主様が思わず
 「このままでもいいかも」とおっしゃるほどです。
 9月04日 ―基礎水切り―

 土台の水切りは、基礎の立ち上がりの上にのっている
 土台を雨などから守ります。
 ガルバリウム鋼板の水切りを、コンクリート基礎の上部に
 つけました。
 9月06日 ―内壁ボード張り―

 内壁の下地のボードが貼られました。
 部屋らしくなってきました。
 9月09日 ―軒天―

 写真は、バルコニー上の軒天です。
 垂木・野地板が化粧材の現わしになっており、
 木の美しさが外壁のアクセントとなります。
 9月11日 ―外壁防水―

 外壁の防水層として、アスファルトシートを木摺りの上に張ります。
 開口部取り合い部分の雨仕舞の確認、シート重ね寸法の確保に
 注意します。
 9月15日 ―階段踏板―

 鉄骨階段に、木製の踏板が取り付けられました。
 色は、リビングのフローリングと同色。美味しそうな(?)
 チョコレート色です。
 9月19日 ―トイレカウンター―

 トイレは、建築主様がこだわりの内装です。
 チョコレート色のカウンター・腰板・格天井ができあがりました。
 ウィリアムモリスの壁紙が楽しみです。
 9月20日 ―クローゼット―

 客間のクローゼットの内部造作を作りました。
 半間が洋服掛け、半間が押入れです。
 押入れの扉は、目立たないように天井から吊って工夫します。
 扉を閉めると壁に見えて落ち着きます。
 9月22日 ―外壁 メタルラス網張り―

 外壁の下地の防水紙に、モルタルが定着しやすいよう
 ラス網を張ります。
 重ね代、タッカー釘のピッチ、開口部分の補強などを確認しました。
 9月23日 ―リビング 化粧柱―

 リビングの柱は、洋館のように化粧柱にしました。
 上げ下げ窓の左右のチョコレート色の柱は、実際に家を支えている
 大事な柱(構造材)です。
 9月25日 ―ドア枠―

 ドアの枠が取り付けられました。
 特に、アンティークドアの枠、蔵戸の吊レール取り付け、
 天井までの高さの引き戸の上吊金物などに苦労しました。
 9月28日 ―クロス壁紙の下地 パテ処理―

 内部の塗装工事が終わったので、内壁ボード下地の継ぎ目などを
 パテ処理します。  凸凹のないことを目視で確認しました。
 9月30日 ―外壁モルタル下地―

 塗り壁の下地として、20〜25mmの塗り厚を確保して軽量モルタルを
 施工します。
 出隅部は、埋込コーナー定木を取り付けて、美しく正確に
 仕上がっています。
 10月11日 ―外壁 塗り壁―

 続いていた雨がやっとあがりました。
 左官屋さん6人で仕上塗りをします。
 一面を6人で一斉に塗っていき、少し乾いた絶妙のタイミングを待って
 鏝仕上げをします。
 10月18日 ―洗面カウンター仕上げ―

 洗面所のカウンターに白いタイルを貼りました。
 これから白い目地を詰めて、こだわって探したシンプルで美しい
 シンクを取り付けます。
 10月19日 ―玄関ポーチ タイル貼り―

 玄関ポーチに、建築主様がお気に入りの30cm角タイルを丁寧に
 貼っています。
 中庭と同じタイルで、スレートのようなテクスチャーです。
 10月19日 ―クロス貼り―

 トイレに、ウイリアムモリスのクロスが貼られました。
 建築主様が慎重に選んだ、葡萄と柳の柄です。
 とても素敵な英国らしい空間になりました。
 10月20日 ―中庭の配筋―

 犬と10匹の猫達が、ペット専用ドアから自由に出入りをして
 自由に遊べるようにする中庭です。
 家の中に戻っても、家が泥んこにならないようにします。
 中央にはシンボルツリーを植えます。
 10月21日 ―中庭コンクリート打ち―

 鉄筋を配筋後にコンクリートを打ちました。タイルを貼って仕上げます。
 リビングや食堂、キッチンや2階の各部屋の窓から、視線を気にせずに
 光を採り込め、中庭で遊ぶペットの様子を見ることができます。  
 10月21日 ―浴槽設置―

 大きな窓のある浴室に、浴槽が設置されました。
 「浴槽ってブロックを積むのね」と建築主様の発言。…そうなのです!

 さらには、この浴槽は入りやすさも考えて設計・施工しているんです!
 10月21日 ―庭の土掘り―

 このお宅は植栽工事を含めず、完成後に御家族で庭作りをされます。
 庭の堅い土を改良するために、ショベルで土を掘り起こしました。
 現場監督の入江さんの指導の下、建築主のお二人も初めてユンボを
 運転しました。楽しい体験となりました。
 10月26日 ―照明器具の取り付け―

 建築主様がネットを駆使して探したアンティークや、海外から
 取り寄せたこだわりの照明器具を取り付けました。
 10月27日 ―勝手口ドア―

 勝手口と玄関ドアは、現場戸締りのために早めに取り付けられて
 いましたが、キッチンのデザインに合わせて、ドア枠にモールを
 つけました。アンティークのステンドグラスとも合いますね。
 10月29日 ―シンボルツリーの植え込み―

 植栽予定日が大雨で延期となり、日曜日の植え込みとなりました。
 早起きをして東京からつくばへ来たつもりでしたが、もうすでに
 植えられていました。植木屋さんも早起きですね。
 10月29日 ―2階から見る花水木―

 上段の写真は、現場監督さんが作業の様子を撮っておいてくれました。
 この写真は私が現場に着いて、2階から中庭を見下ろしたときに
 紅葉した花水木がうれしそうでしたので撮りました。
 10月31日 ―給水・下水管の配管―

 敷地内の地中に給水管・下水管を配管する工事です。
 水道を道路から家の中に引き込み、汚水を道路の下水管に流します。
 穴掘りもたいへんな作業です。
 10月31日 ―設備配管の埋設―

 地中に設備管が埋設されました。
 現場は、私達の知らない、わからないところにも様々な困難な作業と
 職人さんの苦労が詰まっています。
 11月17日 ―工事再開:キッチンの設置―

 船に乗って運ばれてきた輸入キッチンが、やっと日本の税関を通って
 現場に着きました。
 キッチンの到着を待ってストップしていた現場が、最後の工程に
 進みます。
 11月17日 ―キッチンカウンターの設置―

 まずキャビネットと吊り戸棚が設置されました。そしてグリーンの
 人工大理石のカウンターを設置します。
 こだわりの輸入キッチンは、大工さんも初めてとのことです。
 日本の既製品システムキッチンの予算で、個性的ですてきな
 キッチンが実現しました。
 11月17日 ―マントルピースの設置―

 建て主様がていねいに塗装した古いマントルピースを設置しました。
 若いご夫婦が自力で建てるお家にふさわしい工夫によって
 英国リビングの雰囲気が倍増しました。マントルピースの上には
 アンティークの壁付照明、タペストリーを飾ります。とてもステキです。
 11月17日 ―ヴィンテージミラーの取り付け―

 真白いタイルが美しい洗面カウンターの前の壁には、木製の古いミラーを
 取り付けました。大工さんが傷んでいた鏡の裏板と銅釘を取り替えると
 鏡の裏に昭和12年の新聞が挟まれていました。
        
     工事中は、私から建て主様に現場の報告をしています。

報告書は、このような写真と詳細な説明入りで、現場に平均週1〜2回
足を運んで写真を撮ります。
このお家の場合は17冊提出しました。
      
    
     検査機関の完了検査。(11月29日)               建て主様(後ろ姿)による竣主検査。(11月24日)        12月完成!



  つくばの現場へ行くのが楽しみでした。

  建て主様ご夫婦の実家のご家族は、この土地や建築現場を見に来ているうちに
  すっかりつくばファンとなり、東京からつくばへの移住を計画中とか・・・。

  私もこの家の設計監理のおかげで、つくばの温かい人たちとご縁をいただき、
  これからますます引力を感じてしまいそうです。










 

 ―訪問レポート―

  家の完成後1ヶ月が建ち、2月3日に工務店さんとお宅を訪問しました。

  約束の時間に伺うと、ご夫婦で出迎えてくださいました。すると玄関先で工務店さんからサプライズ!
  自家製の野菜、大きな大根や白菜、ほうれん草、水菜などのお土産です。
  現場監督入江さんのお母様が、丹精込めて育てた野菜とのことです。

  建て主さまも、庭の菜園で野菜を育てる予定なので、もしかして野菜作りの弟子入りを
  志願されるのでしょうか・・・?春が待ち遠しいご様子でした。

  リビングではイヌとネコ達が、にぎやかに迎えてくれました。
  建て主様の話では、引っ越してからペット達の食事の量が増えたそうです。
  きっと広くて運動量が多くなったからですね。とっても元気でした。

  1階リビングも、2階ファミリールームも、日差しがいっぱいです。
  暖かいので、イヌもネコもうれしそう。それぞれお気に入りの場所があるそうです。
  たとえば外を眺められる階段下の窓は、猫達のお気に入りの場所です。
  この窓は、通学途中の小学生に見つかって、きれいな猫がたくさんいる・・・!と
  早くも人気スポットになっているそうです。

  土地探しから完成まで地元のお世話をしてくださった鈴木さんもいらっしゃって
  プロジェクト関係者が揃いました。
  陽のあたる中庭のテーブルでご夫婦を囲み、苺がのった美味しいショコラと
  温かいミルクティーをいただきました。本当にご馳走さまでした!
  喜んでいただいる様子に私も幸せです。心が温かくなる冬の午後のひとときでした。
    ペットが自由に出入りできる中庭