パリのインテリア


 ■最初のアパルトマン探し

 私はフランス滞在中に、2度のアパルトマン探しを経験しました。

 最初の時は、日本で渡仏の準備を進める段階から始めました。
 パリでよいアパルトマンを見つけることは、特に外国人にとって
 かなり難しいことがわかったからです。

 パリの不動産屋さんと連絡をとり、メールで情報をもらって
 よい物件を事前に検討しました。
 そのため、いくつかの候補を絞った状態で、渡仏することができました。

 しかし、時差ぼけとホテルに滞在しながらの家探しは、想像していた以上に
 たいへんなことでした。
 どんなに居心地のよいホテルでも、自宅でのくつろぎとは比べられません。
 日が経つにつれ、早く落ち着きたい気持ちが強くなりました。

     パリでは、日本のように不動産屋さんがカギを預かっていることはなく
     大家さんとアポイントを取って、約束の日時に見学します。
     セレクトした全ての物件を、一日でうまくはしごすることは難しいと思いますので
     見学した物件を借りるか、次を探すかの判断をしながら進めていくことになります。

     次の方がもっとよいかもしれないと思うと、限がなくなりますから
     気に入ったアパルトマンを見つけることは運もあるのかもしれません。



 私の場合は、日本語の通じる不動産屋さんとフランスの不動産屋さんとで
 二股をかけて、かなり頑張って探しました。

 結局、フランスの不動産屋さんの物件で、バスティーユの設計事務所に歩いて行ける距離の
 ヴォージュ広場近くのマレの館のアパルトマンが気に入り、賃貸契約をしました。
 今思えば、かなりラッキーだったと思います。


    ホテルからの引っ越しが終わっても、やらなければならないことはまだたくさんあります。
    銀行口座開設、ビザの取得、ガス・電気・電話の手続き、コンシェルジュに挨拶・・・

    そして新しい生活の準備です。
    家具付アパルトマンであっても、タオル、シーツ、石鹸、洗剤など日用生活品が必要です。
    借りたアパルトマンには、趣味のよいバカラのグラスやリモージュの食器、銅の鍋などが
    ひととおり揃っていました。
    私はまず、枕や羽毛布団、日本から持ってきた小さな炊飯器を使うための変圧器など、
    デパートを廻って揃えました。

    住んでいたアパルトマンは、「私のアパルトマン」をご覧下さい。



    1年後、パリにも慣れて、治安のよい地区で生活を楽しみたいと考え、
    引越しを決意しました。

    ちょうどその頃、私に茶室の設計を依頼したネプラ氏の家に招かれ、
    16区トロカデロのすばらしいアパルトマンを訪問しました。

    パリは、カルチェよって街の雰囲気が異なります。
    すばらしいアパルトマンには満足であっても、マレ地区の中世そのままの
    狭い道路が少し窮屈に感じてきました。



 



 ■2度目のアパルトマン探し

  職業的興味も手伝って、時間の許す限りいろいろな家を見学しました。
  引っ越しを迫られていないため、当初はよさそうな物件が見つかったら
  モンマルトル、セーヌの見える場所、16区や8区の高級住宅街・・・と
  始めは興味のわくまま見て歩きましたが、後半は7区限定で探しました。

  家具つきのアパルトマンを探したおかげで、個性豊かなインテリアに出会うことができました。
  パリジャンはインテリアにも主張があり、本当に楽しいのです。


 ■パリのアパルトマンのインテリア  

  フランス人の不動産屋さんが私におもしろそうに話しました。
  「たいていの日本の人は、設備の整った新しいモダンなアパルトマンを好むようですが
  吉田さんは建築家らしい芸術的好みですね・・・。」

  また、マレのアパルトマンから引っ越す時、日通の引越しの担当者の方が、
  中世の館のピンクの外壁を見て思わず私に言いました。
  「実はマレでの引越しを扱うのは、初めてです。マレの館に住む日本の人もいるのですね!」


  これらの言葉のとおり、私が住んだり見学したアパルトマンは、もしかしたら日本人向きではない
  ところもあったと思います。
  でも私にとってはすばらしい経験で、フランスらしい様々なインテリアを身近に感じることができました。