―――1番大好きな君にあげたい…。
―――あげたら君はどんな顔をするだろう?
―――喜んでくれたら俺は…。
大好きな君への気持ち
「やっと咲いたな」
公園にある、湖でイザムは一輪の花を見つめる。
「ちゃんと咲くかどうか不安だったが…思った通り綺麗に咲いた」
イザムの側には美しく、薄いピンク色の花が咲いている。
「まず、どうしようか? はるかをまたここに呼ぶか…それとも俺が持っていくべきか」
今日はホワイトデー。
イザムは先月、はるかからバレンタインのチョコを貰ったので、お返しをしたいのだ。
「やはり…はるかに持っていこう」
そう決意をしたイザムは、花を折れないようにそっと摘んだ。
「みんなには秘密にしておいた方がいいだろうか?」
独り言を呟きながらアースジェッターに乗り込むイザム。
「以前にも秘密にしていたのだから、やはり秘密にしておいた方がいいよな?」
仲間には花の事をずっと秘密にしていたのだが、何故か麻美や由紀には知られていた。
「麻美に頼んで、この花をミクロ化させてもらおう。後で元の大きさに戻せるように。それではるかの元へ着いたらこの花を…」
イザムはまだぶつぶつと呟くのだった。
「あら? イザムさん?」
部屋の窓を叩くイザムに気付くはるか。
「どうかしたんですか〜?」
首を傾げるはるかだが、イザムは何かを言いたいようだ。
「………っ!」
「えっ? 聞こえないんですけど…」
「ここを開けてくれって言っているんだ!」
イザムは仕方なく大声で伝える。
「あっ、窓を開けて欲しかったんですか? 今開けますね」
そう言って、はるかは窓を開けた。
「やっとわかってくれたか…」
ため息をつきながら、イザムははるかの机に座る。
「今日はどうしたんですか?」
「実は、はるかに渡したい物が…」
イザムがここに来た理由を話そうとするが…。
「あっ、パトロールしていたんですか?」
「いや、そうじゃなくて…」
「それとも、真悟くんにお買い物でも頼まれて、それの行きか帰り?」
「違…」
「わかった! お散歩ですね」
「違うって言ってるのに…」
イザムは頭を抱える。
「えっ? 違うんですか?」
「そう、違うんだ」
ボケるはるかにツッコミするイザム。
「それじゃあ、今日はどうして?」
「はるかに渡したい物があるんだ」
やっとイザムは自分がここに来た理由を話せた。
「渡したい物…ですか?」
「ああ、これなんだ」
はるかの問いに頷いたイザムはミクロ化しておいた植木鉢を取り出す。
「これは…」
「前に、君に見せた蕾が咲いたんだ」
「まあ、きれいに咲くとわかっていましたけど、本当に素敵ですね〜」
元の大きさに戻った花を見つめ、はるかは見惚れている。
「この花が咲いたら、君にあげるという約束をしたのを覚えているよな?」
「ええ、もちろん」
はるかはイザムとの約束を覚えていてくれた。
イザムはそれを聞いて安心したのか、話を進める。
「今日、咲いたばかりでちょうど地球でいうホワイトデーだったから、この花をはるかにあげようと思ってさ…」
照れているのか、イザムの透き通るような白い肌が少し紅い。
「イザムさん…私、すごく嬉しいです」
はるかは物凄く嬉しいのか、明るい笑顔で喜ぶ。
「喜んでくれるのか?」
「もちろんですよ。だって、大切な人からの贈り物なんですから」
微笑むはるかに、イザムも小さく笑う。
「喜んでくれて嬉しいよ。はるか」
「イザムさん、ありがとうございます」
互いの顔を見合わせ、微笑む二人。
花もそんな二人を見つめるかのように小さく風に吹かれていた。
おまけです。
「うわー…イザムに先を越されちまった。イザムのマシンは空飛ぶから一番早く来れたのかよぉ!?」
はるかの部屋の外ではアーサー達が来ていた。
先を越された為、ウォルトは悔しがる。
「イザムは、はるかが大事だから、一番に渡したかったんだろうな」
ウォルトを宥めながら、オーディーンは二人の様子を窺っている。
「二人の仲を邪魔してはだめなのである」
眼鏡をかけ直しながら、エジソンはウォルトの肩に手をおく。
「私達は後で渡すとしよう」
アーサー達はイザムが出てくるのを待つ事にしたのだった…。
完
あとがき
今回はホワイトデー創作ですv
再びイザム×はるか小説にしましたv
初めはどういうお返しをしようか悩んでいましたが、蕾だった花が咲いて、それをプレゼントにする事にしたのです。
アーサー達の出番が少なくてごめんなさい。(汗)
時間がなくて、短い話になってしまいました。(汗×2)
真悟くん達の出番もなくてすみません。(汗×3)
結希はまだまだ修行が足りません。
このような話を気に入ってくだされば結希は幸いでございますv
by 結樹汐梨